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SHINOBAZUコラム71 荒井 一章
このたび、とてもすばらしい池田満寿夫の伝記が出版された。著書は宮澤壮佳(池田満寿夫美術館館長)。天才アーチスト池田満寿夫の裏方として40年つき合った著者が、現在これ以上目にすることは不可能という位の資料漁りを駆使して、池田満寿夫の人生をすべて書きつくした。いわば、63年間の池田満寿夫のドキュメンタリーともいえる。
非常にすぐれた伝記で、将来ともこれ以上の伝記は出まいと私は思っている。池田満寿夫といえば必ずといっていいほど、女性遍歴が取り上げられるのだが、このことについても、その場面を知る、あるいは立ち会った観察者の目ですべての対象者を均等に登場させ、静かに、やさしい目で池田芸術のパートナーとして描いている。さらにこの本のすばらしい点は、池田の活動した1950年代からの海外、とりわけアメリカの文化情況と日本の現代美術とのかかわりを非常にわかりやすく解説しながら、池田満寿夫のアート・シーンと重ねていることだと思う。美術ばかりでなく、当時の政治、経済、文化のさまざまな流れを取り出して当時の情況を語る著者の博識には驚くばかりだ。この本はアートを志す若者必読の教科書である。私は夢中で読んでしまった。感度の「池田満寿夫 −流転の調書」(宮澤壮佳著、玲風書房刊、2400円・税別)を、この夏一番の読書にお勧めしてはばからない。 (あらいかずあき/画廊主)
<各新聞でも紹介されました>
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