|
SHINOBAZUコラム72
2003.7.13
2003年7月12日から26日まで「長島充 グリーンマン伝説+Early Works」 を開催しています。長島充は今回の展覧会で、新作木口木版画集「The
Green Man・グリーンマン伝説」を発表。昨年の木口木版画集「沈黙の森」に続く連作として、この技法ならではの「森の再生」を意識した独自の世界観を見せてくれています。今回のコラムでは、作家自身による「グリーンマン伝説」制作への思いをご紹介します。ぜひ、あわせて会場で作品をご高覧いただければと思います。
木口木版画集「The Green Man・グリーンマン伝説」に寄せて
長島 充
グリーンマンとは、中世ヨーロッパの教会の建築装飾や絵画、
タペストリーなどに幅広く見られる顔が木の葉やドングリでできた自然神である。
その起源は遠く、古代オリエント、エジプトからケルト神話へと受け継がれた大地母神信仰とされている。
森や自然の復活と再生のシンボルとして、今も民間信仰の中に生き続けている。
長い歴史の中でさまざまな神や人物に変身し、あまりにも多くの物語や説話に登場していて、そのストーリーやイメージを一つに統一するのが難しい。創作意欲を開放させるため、物語を自ら作る事にした。文献を読んでいろいろと想像を巡らせているうちに創世記的なヴィジョンが膨らんできた。たとえば、旧約聖書のアダムとイヴ、古事記のイザナギとイザナミ、小さな木口面に、森から全ての復活劇が始まる雄大なストーリーを生み出せないか…。
「荒涼とした森にグリーンマンが出現し、グリーンウーマンと出会う。自然と文明との調和を願う二人が復活の秘儀を執り行う・・・そして静かに再生が始まる。」
大まかな筋書きが決まると、イメージが消え失せないうちに一気にスケッチを仕上げ、彫版した。前作が森の中の博物誌的な意味が強かったこともあり、今回はあえて物語性を前面に出し、それぞれのつながりを強めた。版木もツゲ、ツバキ、ビワといろいろな種類と形の木に彫ってみた。樹木の化身ということと自然の再生のシンボルということが、木口木版画技法の先天的に持つ体質にしっくりきた。
(ながしま・みつる)
「グリーンマン伝説」よりT「出現」2003、木口木版画
展覧会の詳細へ
TOPページへ戻る
|